特発性間質性肺炎
肺は肺胞と呼ばれるガス交換をする小さな袋が葡萄の房のように集合してできています。通常の肺炎は細菌やウイルスが袋の中に入ることで炎症を生じて分泌物(痰)が溜まりますが、間質性肺炎は袋の中ではなく袋と袋の間(間質)に炎症を生じる肺炎です。ですからあまり痰は出ません。炎症が長引くと間質が硬くなり鎧をかぶったように伸び縮みしない肺となって肺活量が低下し呼吸困難を生じます。
原因は、膠原病、感染症、薬剤、粉塵のほか、原因不明なものも多数を占めています。原因不明のものを特発性間質性肺炎といい、中で最も頻度が高いのは特発性肺線維症と呼ばれるものです。この病型では、息切れは徐々に進行し、平均的な予後は病気を指摘されてから約5年とされています。ます。
【診断】
CTで形状を調べ、必要ならば肺の一部を内視鏡や手術でとってきて組織で判断します。
【治療】
原因が明らかなものはその治療をします。たとえば、膠原病の治療、感染症の治療、薬剤の中止などである程度改善します。原因不明なものはステロイド、免疫抑制剤を使うこともあります。間質性肺炎は全般的に時間が経過して一旦硬くなってしまうとなかなか元に戻すのが困難です。病気が進行すると、在宅酸素療法を用いることがあります。特発性肺線維症で進行の程度が速い患者さんには抗線維化薬を用いることにより、進行を緩徐にすることができる場合がありますが、効果には個人差が見られます。風邪などを契機に急激に病状が悪化することがあり、これを急性増悪(ぞうあく)といい、ステロイド薬などで治療を行いますが、非常に致死率の高い状態になりえます。急性増悪のリスクとなるため風邪をひかないように日常の手洗い、うがいを徹底する必要があります。また、肺炎やインフルエンザのワクチンを適宜受けておくことも推奨されます。
特発性間質性肺炎のCT 肺の背中側(下の方)を中心に蜂の巣状に肺が変化しています(蜂巣肺)