インフルエンザワクチン

フルミストの概要
フルミストは弱毒生ワクチンで、鼻腔に噴霧することで擬似感染状態を作りだし局所でIgA抗体を免疫誘導させ、インフルエンザウイルスが侵入するのを予防します。このIgA抗体は従来の注射では産生されません。従来の注射同様、血液内でIgG抗体が産生されるため、感染した場合にウイルスの増殖を抑えて重症化を抑制します。フルミストは約1年間効果が持続します。従来のインフルエンザワクチンは5か月程度です。また最大のメリットは鼻へ噴霧するため、針を刺す必要がないことで、しかも接種は1回で完了します。フルミスト点鼻液を接種後、積極的に吸入(鼻ですする)する必要はありません。フルミストの対象者
2歳以上19歳未満注射との比較
フルミストと従来の注射との間でインフルエンザ罹患予防効果に対する直接比較データがなく、どちらか一方の明確な優位性は確認されていません。1. 有効性の比較
●フルミスト 6か月から17歳の子どもでは、従来の注射型ワクチンよりも高いとする一方、成人(18歳から49歳)では注射と比較して効果は同等か、やや低い場合もあるとの報告があります。65歳以上の高齢者では、免疫反応が弱くなるため効果は低いと報告されています。
●注射 幅広い年齢層に対応し、6か月以上のすべての人に推奨されています。特に高齢者や基礎疾患のある人々に注射が一般的に使用されます。
2. 安全性の比較
●フルミスト ○利点: 注射の必要がなく痛みを伴わないため、小児にとって心理的な負担が少ない。 ×リスク: 生きた弱毒化ウイルスを使用するため、免疫不全者や特定の健康状態を持つ人(喘息のある子ども、妊婦など)には推奨されていません。感冒様症状(鼻水、咳など)が見られることがあり、まれに(1-2%程度)インフルエンザに罹患することがあります。
●注射 ○利点: 不活化されたウイルスを使用しているため、生きたウイルスが原因となる副反応のリスクはなく、幅広い集団に安全に使用できます。 ×リスク: 注射部位の痛みや腫れが最も一般的な副反応です。アレルギー反応(アナフィラキシー)が報告されていますが極めて稀です。
患者さんの年齢、健康状態、リスク要因など考慮して、ワクチンの選択をします。
フルミスト | 注射 | |
---|---|---|
回数 | 1回 | 13歳未満2回 13歳以上1回 |
方法 | 鼻腔噴霧 | 皮下注射 |
タイプ* | 生ワクチン | 不活化ワクチン |
対象 | 2~18歳 | 6ヶ月~ |
有効性※ | 2~17歳:83% 18~49歳:50~60% 65歳以上 :著しく低いまたは無効 |
2~17歳:65% 18~49歳:50~60% 65歳以上 :40~60% |
持続 | 約1年間 | 約5ヶ月間 |
副反応 | 鼻水・鼻づまり:成人で約44%、子どもで約58%、発熱:子どもで6-16%、咳、喉の痛み:大人で20%、子どもで13%、頭痛:約25%(成人)、8-14%(小児) | 注射部位の痛み:成人で約65%、小児で15-20%、発熱:成人で1-2%、小児で5-10%、筋肉痛、関節痛:成人で10-20%、全身疲労感:成人で10-20% |
費用 | 8,000-10,000円/回 | 3,000-4,000円/回 |
*生ワクチンと不活化ワクチン
生ワクチン:生きた病原体を弱毒化し、体内で増殖し自然な感染に似た免疫反応を引き起こすことで、1回で強力で長期的な免疫が得られます。通常は病気を引き起こしません。しかし免疫力が低い人(免疫不全者)等には投与は控えます。
不活化ワクチン:病原体を化学的または物理的に不活化(殺す)して使用。ワクチンに含まれる病原体は増殖しませんが、免疫系はそれに反応し、抗体を生成します。免疫不全者や妊婦でも安全に接種できます。通常、複数回の接種が必要で、生ワクチンほど強力な免疫応答を誘発しません。
※ 有効性に関して各種報告はあるが両者直接比較したデータはありません。若年者ではほぼ同等とされています。
フルミストを接種できない方
・明らかな発熱を呈している方・重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
・本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな方
・明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制をきたす治療を受けている方
・妊娠していることが明らかな方
・上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある方
接種要注意の方
・ゼラチン含有製剤又はゼラチン含有の食品に対して、ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血管性浮腫等)等の過敏症の既往のある方・心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する方
・予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方
・過去にけいれんの既往のある方
・過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる方
・重度の喘息を有する者又は喘鳴の症状を呈する方
・本剤の成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある方
・腎機能障害を有する方
・肝機能障害を有する方
・生殖能を有する方(妊娠可能な女性においては、あらかじめ約1か月間避妊した後接種すること、及びワクチン接種後約2か月間は妊娠しないように注意すること。)
・妊婦(妊娠していることが明らかな場合は接種しない)
・授乳婦(治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討。本剤は水平伝播の可能性があるため、ワクチン接種後1~2週間は乳児との接触を可能な限り控えること。)
・小児等(2歳未満の小児等に対しては本剤を接種しない。本剤は2歳未満の小児等に対する適応はなく、海外での臨床試験において、本剤接種後に2歳未満での入院及び喘鳴のリスクが増大したとの報告がある。