<<インフルエンザワクチン(注射)のご案内>> 期間:2024年10月1日から薬剤終了まで。 時間:診療時間内(午後は受付17時30分まで) 回数:13歳以上 1回、3歳~13歳未満 2回 接種可能年齢:満3歳以上 費用(注射):3,500円/回 予約:不要です。直接窓口でお申し出下さい。 ●千曲市高齢者予防接種(公費) 対象:①接種当日満65歳以上(満65歳以前の接種は公費負担外) ②満60歳以上65歳未満のうち、身体障害者手帳1級で、心臓・腎臓・呼吸器の機能またはヒト免疫不全機能に障害を有する方(満60歳以前の接種は公費対象外) 費用:1,200円(自己負担額) 持ち物:接種費用、健康保険証 注意:予診票は郵送されません。当院窓口にあります。 ●千曲市子ども任意予防接種(公費) 対象:小学生1年生~高校3年生相当 費用:医療機関の定める接種料金から、1,000円(公費負担分)を差し引いた額 持ち物:接種費用、母子手帳、市が送付した予診票(予めご自宅で記入して下さい) <<その他>> 本年度承認されたインフルエンザワクチン(経鼻)は、本年度流通が僅少です。また、公費適応外とのことです。 |
コロナの感染対策等で幸い発生のなかったインフルエンザでしたが、2023年5月新型コロナ五類移行後は、以前同様の発生数に戻りつつあります。インフルエンザに感染すると高熱、全身倦怠感、頭痛、吐き気など全身症状で日常生活に支障を及ぼします。例年12月から3月頃にかけて流行のピークを迎えるため、ワクチン接種は年内には完了するのが良いと思います。注射は13歳以上は1回接種で十分に免疫が得られ、13歳未満には2〜4週間隔で2回目の接種を推奨しています。
2024年度から国内でも鼻腔にスプレーするタイプのインフルエンザワクチン“フルミスト”の使用が承認されました。これまでは一部医療機関で個人輸入して接種していました。国内承認にともない副反応により健康被害が生じた場合、予防接種健康被害救済制度の適応となります。フルミストは2003年始めて米国で承認され、2023年4月現在で36カ国で承認されています。
フルミストは弱毒生ワクチンで、鼻腔に噴霧することで擬似感染状態を作りだし局所でIgA抗体を免疫誘導させ、インフルエンザウイルスが侵入するのを予防します。このIgA抗体は従来の注射では産生されません。従来の注射同様、血液内でIgG抗体が産生されるため、感染した場合にウイルスの増殖を抑えて重症化を抑制します。
フルミストは約1年間効果が持続します。従来のインフルエンザワクチンは5か月程度です。また最大のメリットは鼻へ噴霧するため、針を刺す必要がないことで、しかも接種は1回で完了します。フルミスト点鼻液を接種後、積極的に吸入(鼻ですする)する必要はありません。
2歳以上19歳未満
接種後30分間は、アナフィラキシーなどの急な副反応が起こることがあり、医師とすぐに連絡を取れるようにしておきましょう。接種当日は、入浴しても差し支えありません。いつも通りの生活をしても構いませんが激しい運動は避けましょう。ワクチン接種後に、鼻水、鼻づまり、せき、のどの痛み、頭痛などの副反応が現れることがあります。本剤接種後一定期間は、本剤由来のワクチンウイルスがインフルエンザの迅速検査で陽性反応を示す可能性があります。また、フルミスト点鼻液の接種後1~2週間は、重度の免疫不全者等との密接な接触は避けてください。
フルミストと従来の注射との間でインフルエンザ罹患予防効果に対する直接比較データがなく、どちらか一方の明確な優位性は確認されていません。
1. 有効性について
●フルミスト
6か月から17歳の子どもでは、従来の注射型ワクチンよりも高いとする一方、成人(18歳から49歳)では注射と比較して効果は同等か、やや低い場合もあるとの報告があります。65歳以上の高齢者では、免疫反応が弱くなるため効果は低いと報告されています。
●注射
幅広い年齢層に対応し、6か月以上のすべての人に推奨されています。特に高齢者や基礎疾患のある人々に注射が一般的に使用されます。
2. 安全性について
●フルミスト
○利点: 注射の必要がなく痛みを伴わないため、小児にとって心理的な負担が少ない。
×リスク: 生きた弱毒化ウイルスを使用するため、免疫不全者や特定の健康状態を持つ人(喘息のある子ども、妊婦など)には推奨されていません。軽度のインフルエンザ様症状(鼻水、咳など)が見られることがあります。
●注射
○利点: 不活化されたウイルスを使用しているため、生きたウイルスが原因となる副反応のリスクはなく、幅広い集団に安全に使用できます。
×リスク: 注射部位の痛みや腫れが最も一般的な副反応です。まれに、アレルギー反応(アナフィラキシー)が報告されていますが極めて稀です。
患者さんの年齢、健康状態、リスク要因など考慮して、ワクチンの選択をしていきます。
フルミスト | 注射 | |
接種回数 | 1回 | 13歳未満 2回 13歳以上 1回 |
接種方法 | 鼻腔噴霧 | 皮下注射 |
タイプ* | 生ワクチン | 不活化ワクチン |
対象 | 2~18歳 | 6ヶ月~ |
有効性※ | 2~17歳:83% 18~49歳:50~60% 65歳以上 :著しく低いまたは無効 |
2~17歳:65% 18~49歳:50~60% 65歳以上 :40~60% |
効果の持続 | 約1年間 | 約5ヶ月間 |
副反応 | 鼻水・鼻づまり:成人で約44%、子どもで約58%、発熱:子どもで6-16%、咳、喉の痛み:大人で20%、子どもで13%、頭痛:約25%(成人)、8-14%(小児) | 注射部位の痛み:成人で約65%、小児で15-20%、発熱:成人で1-2%、小児で5-10%、筋肉痛、関節痛:成人で10-20%、全身疲労感:成人で10-20% |
接種費用 | 8,000 円/回 前後 | 3,500円/回 |
*生ワクチンと不活化ワクチン
生ワクチン:生きた病原体を弱毒化し、体内で増殖し自然な感染に似た免疫反応を引き起こすことで、1回で強力で長期的な免疫が得られます。通常は病気を引き起こしません。しかし免疫力が低い人(免疫不全者)等には投与は控えます。
不活化ワクチン:病原体を化学的または物理的に不活化(殺す)して使用。ワクチンに含まれる病原体は増殖しませんが、免疫系はそれに反応し、抗体を生成します。免疫不全者や妊婦でも安全に接種できます。通常、複数回の接種が必要で、生ワクチンほど強力な免疫応答を誘発しません。
※ 有効性に関して各種報告はあるが両者直接比較したデータはありません。若年者ではほぼ同等とされています